国立大学法人山口大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する規則における学生の修学に関する留意事項

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別紙(規則第6条及び第7条関係)

国立大学法人山口大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する規則における学生の修学に関する留意事項

国立大学法人山口大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する規則(以下「規則」という。)第6条及び第7条に定める学生の修学に関する留意事項は,以下のとおりとする。

第1 不当な差別的取扱いに当たり得る具体的な事例(規則第6条関係)

規則第3条第1項及び第2項のとおり,不当な差別的取扱いに相当するか否かについては,個別の事案ごとに判断されることとなるが,不当な差別的取扱いに当たり得る具体的な事例は,次のとおりである。

なお,次に示す具体的な事例については,正当な理由が存在しないことを前提とし,また,次に掲げる具体的な事例以外でも不当な差別的取扱いに該当するものがあることに留意すること。

また,障害者が,本学における教育及び研究その他本学が行う活動への参加を検討するために有効な環境や配慮に関する情報を事前に提供するよう努めること。そのうえで,規則第3条第2項のとおり,教職員は,正当な理由により配慮を行うことが難しいと判断した場合には,障害者にその理由を説明し,理解を得るよう努めなければならない。

  • 障害があることを理由に,受験を拒否すること。
  • 障害があることを理由に,入学を拒否すること。
  • 障害があることを理由に,授業受講を拒否すること。
  • 障害があることを理由に,研究指導を拒否すること。
  • 障害があることを理由に,実習,研修,フィールドワーク等への参加を拒否すること。
  • 障害があることを理由に,事務窓口等での対応順序を劣後させること。
  • 障害があることを理由に,式典,行事,説明会,シンポジウムへの出席を拒否すること。
  • 障害があることを理由に,学生寮への入居を拒否すること。
  • 障害があることを理由に施設等の利用やサービスの提供を拒否すること。
  • 手話通訳,ノートテイク,パソコンノートテイクなどの,適切な情報保障手段を用意できないからという理由で,障害のある学生の授業受講や研修,講習,実習等への参加を拒否すること。
  • 試験等において,合理的配慮を受けたことを理由に評価に差をつけること。
第2 合理的配慮に該当し得る配慮の具体的な事例(規則第7条関係)

合理的配慮は,障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化,必要な人材の配置,情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として,個々の障害者に対して,その状況に応じて個別に実施される措置である。その内容は,規則第3条第3項及び第4項のとおり,障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的状況等に応じて異なり,多様かつ個別性が高いものであり,当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ,社会的障壁の除去のための手段及び方法について,必要かつ合理的な範囲で,柔軟に対応する必要があるが,具体的な事例は,次のとおりである。

なお,次に掲げる具体的な事例については,過重な負担が存在しないことを前提とし,また,次に掲げる具体的な事例以外にも合理的配慮は多数存在することに留意すること。

また,在学生の修学上の配慮に関しては,授業や研究の目的に適う範囲で実施することとし,学部・研究科,担当部署で対応が難しい場合は,学生特別支援室を交えて協議すること。さらに,規則第3条第4項のとおり,教職員は,過重な負担に当たると判断した場合には,障害者にその理由を説明し,理解を得るよう努めなければならない。

○ 物理的環境への配慮
  • 車椅子のキャスター上げ等の補助をし,又は段差に携帯スロープを渡す等,移動が難しい学生の移動円滑化のための工夫をすること。
  • 図書館やコンピュータ室,実験・実習室等の施設・設備を,他の学生と同様に利用できるよう改善に努めること。
  • 移動に困難のある学生のために,普段よく利用する教室に近い位置に駐車場を確保すること。
  • 配架棚の高い所に置かれた図書やパンフレット等を取って渡したり,図書やパンフレット等の位置を分かりやすく伝えたりすること。
  • 障害特性により,授業中,頻回に離席の必要がある学生について,座席位置を出入口の付近に確保すること。
  • 移動に困難のある学生が参加している授業で,使用する教室をアクセスしやすい場所に変更すること。
  • 易疲労状態の障害者からの別室での休憩の申し出に対し,休憩室の確保に努めるとともに,休憩室の確保が困難な場合,教室内に長いすを置いて臨時の休憩スペースを設けること。
○ 意思疎通の配慮
  • 授業や実習,研修,行事等のさまざまな機会において,手話通訳,ノートテイク,パソコンノートテイク,補聴システム活用などの情報保障に努めること。
  • 言葉の聞き取りや理解・発声・発語等に困難を示す学生のために,必要なコミュニケーション上の配慮を行うこと。
  • シラバスや教科書・教材等の印刷物にアクセスできるよう,学生の要望に応じて電子ファイルや点字・拡大資料等の提供に努めること。
  • 聞き取りに困難のある学生が受講している授業で,ビデオ等の視聴覚教材に字幕を付与して用いたり,授業前後に視聴覚教材の貸出しを行うこと。
  • 状況に応じて,授業中教員が使用する資料を事前に提供し,事前に一読したり,読みやすい形式に変換したりする時間を与えること。
  • 筆記が難しい学生について事務手続きの際に,教職員や支援学生が必要書類の代筆を行うこと。
  • 障害のある学生で,視覚情報が優位な者に対し,手続きや申請の手順を矢印やイラスト等でわかりやすく伝えること。
  • 間接的な表現が伝わりにくい場合に,より直接的な表現を使って説明すること。
  • 口頭の指示だけでは伝わりにくい場合に,指示を書面で伝えること。
  • 授業でのディスカッションに参加しにくい場合に,授業の目的に適う範囲で発言しやすいような配慮をしたり,テキストベースでの意見表明を認めたりすること。
  • 入学試験や定期試験,または授業関係の注意事項や指示を,口頭で伝えるだけでなく紙に書いて伝達すること。
○ ルール・慣行の柔軟な変更の具体例
  • 入学試験や定期試験において,個々の学生の障害特性に応じて,試験時間を延長したり,別室受験や支援機器の利用,点字や拡大文字の使用を認めたりすること。
  • 成績評価において,本来の教育目標と照らし合わせ,公平性を損なわない範囲で柔軟な評価方法を検討すること。
  • 外部の人々の立ち入りを禁止している施設等において,安全性や情報セキュリティを確認したうえで,介助者等の立ち入りを認めること。学外の介助者の立ち入りが難しいと判断する場合は,学内介助者の配置を検討すること。
  • 大学行事や講演,講習,研修等において,適宜休憩を取ることを認めたり,休憩時間を延長したりすること。
  • 移動に困難のある学生に配慮し,車両乗降場所を教室の出入り口に近い場所へ変更すること。
  • 教育実習等の学外実習において,合理的配慮の提供が可能な機関での実習を認めること。
  • 教育実習,病棟実習等の実習授業において,事前に実習施設の見学を行うことや,通常よりも詳しいマニュアルを提供すること。
  • 外国語のリスニングが難しい学生について,リスニングが必須となる授業を他の形態の授業に代替すること。
  • 障害のある学生が参加している実験・実習等において,特別にティーチング・アシスタント等の配置を検討すること。
  • 授業や研究情報の公開範囲,データの管理要領を確認した上で,状況に応じて,ICレコーダー等を用いた授業の録音を認めること。
  • 授業や研究情報の公開範囲,データの管理要領を確認した上で,状況に応じて,授業中,ノートを取ることが難しい学生に,板書を写真撮影することを認めること。
  • 不随意運動等により特定の作業が難しい障害者に対し,授業や研修等の目的に適う範囲で教職員や支援学生を配置して作業の補助を行うこと。
  • 感覚過敏等がある学生に,サングラス,イヤーマフ,ノイズキャンセリングヘッドフォンの着用を認めること。
  • 体調が悪くなるなどして,レポート等の提出期限に間に合わない可能性が高いときに,期限の延長等を検討すること。
  • 教室内で,講師や板書・スクリーン等に近い席を確保すること。
  • 履修登録の際,履修制限のかかる可能性のある選択科目において,機能障害による制約を受けにくい授業を確実に履修できるようにすること。
  • 入学時のガイダンス等が集中する時期に,必要書類やスケジュールの確認などを個別に行うこと。
  • 治療等で学習空白が生じる学生に対して,授業資料を提供する,質問対応を行う等,学習機会を確保できる方法を工夫すること。
  • 授業出席に介助者が必要な場合には,介助者が授業の受講生でなくとも入室を認めること。
  • 視覚障害や肢体不自由のある学生の求めに応じて,事務窓口での同行の介助者の代筆による手続きを認めること。